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2022.11.26

冬が来る前に・・・ ~オオウバユリの一生

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スタッフ名:高梨

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 春に種子から芽を出して葉を広げ、花を咲かせて子孫を残し、冬の前に一生を終える1年生草本にとって、冬の訪れは凋落の季節~言わば「死」の季節です。
 体のどこかに栄養を貯蔵し、来春にそこから生命活動を始める多年生草本や木本の場合は「死」とは限らないのですが、植物界全体として、冬はまさに死の匂い漂う厳しい季節です。
 
 裏磐梯の自然も今はもうほぼ冬枯れで、雪が舞うモノトーンの世界となるのもまもなくです。
 こんな時に自然の中を歩くと、植物たちは、律義に、潔く、冬を迎える準備を終えているのに気づかされます。そう、来春の新しい生命の準備~種子とその散布の準備が完了しているのです。特に裏磐梯にとても多いオオウバユリのそれは圧巻です。

 今日は、とても個性的で風変わりなオオウバユリの一生を紹介します。 
 
まずさらっと、春の芽生えから花が咲くまでの成長の様子をご覧にいれます。
オオウバユリの芽生えは、すぐわかる大きな葉です。大体の葉脈には小豆色の筋が入ります。
葉の下の茎はとても太く直立します。
7月、葉の中心に蓮の花蕾に似た大きなつぼみが出来ます。
しばらくすると、花茎だけがすごい勢いで伸びていきます。
そしてつぼみの鱗片のような一つ一つが花一つのつぼみとなり・・・
8月、突如花が咲きます!
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緑色~クリーム色の変わった色の花。ヤマユリやヒメサユリとは全く雰囲気の違うユリの花です。

 そして花の香。これもヤマユリのようにセクシーなあでやかさでなく、上品な香り。高貴な芳香とも言えます。

 私は花言葉はふだん関心ないのですが、この花の花言葉「威厳、純潔、無垢」は、何かしっくりきます。雰囲気をよくとらえています。
 
そして花が終わると、実りの季節・・・

花びらは散り、めしべだけが残ります。
めしべの柱頭も役目を終え・・・
めしべの根元が膨らんできます。
しっかり実(蒴果)が熟してきました。
完全に熟すると、蒴果は割れて中に種子が見えてきます。
 そして風が吹く度に、上から順々に、種子が遠く近くに散乱されます。

 それにしても圧倒的な種子の数。一本の茎に花が10~20個ほどもつきますが、一つ一つの実にすごい数の種子が入っています。

 
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あまりの種子の多さにあきれ果て、いったい、いくつあるのか数えてみたくなりました! 
きちんと重なって6列に種子が並んでいました。
一つの蒴果の種子を全部取り出し、両面テープで紙に貼り付けました。
 575個の種子が入っていました。
 私が数えたオオウバユリ1本には蒴果が15個ありましたので、15倍すると8,625個の種子ができたことになります。1個の種子から誕生した1本のオオウバユリが、およそ10,000個の新たな種子をつくったことになります!
 
 裏磐梯の原野にシベリア季節風が吹きすさぶと、枯草色のオオウバユリの種子は、数限りなく散布され拡がるのです・・・。
 散布されたすべてが発芽すると、オオウバユリだらけになり却って大変なことになりますので、このくらい多量に散布されて初めてちょうどよい状況となるということでしょう。 
 
 オオウバユリは、6~7年の一生のうち一度だけ花が咲き実を結ぶということです。花が咲かない年は、ひたすら葉を広げて光合成を行い栄養を球根にため込んで開花結実に備えるようです。
 オオウバユリの球根は、北海道のアイヌにとって冬の重要な食料となるそうです。
 
 北国の冷涼な気候に生きる植物のお話でした。来春のたくましい芽生えを待ちましょう。
 

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