ブラタモリ再び 火山の内部が見える!
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スタッフ名:高梨
櫛ケ峰(くしがみね)からの稜線に見られる成層火山の断面
皆さんこんにちは、お元気ですか。
今日は登山の好適シーズンになり、足を向ける方も多い磐梯山の爆裂火口に関する紹介をいたします。
この爆裂火口(正しくは崩壊壁に囲まれた馬蹄形(U字形)カルデラ)は、明治21年の小磐梯山の水蒸気爆発~山体崩壊で出現したもので、4年前、NHKの人気番組「ブラタモリ」で取り上げられ話題になり、来訪者が一層増えています。(自然系の視聴率ではブラタモリ史上第1位だったそうです。)
タモリさんは、火口底の銅沼(あかぬま)からのこの景色を見て、「これはすごい! 山の中が見える。今まで私が見た景色の中で一番のごちそうですねえ!」と言って大興奮しました。
この写真の中心部分をよく見ると、溶岩の層(灰色で縦に多くのひび割れが見える硬い岩石の層)と火山砕屑(さいせつ)物の層(赤レンガ色で崩れやすい層)が交互に積み重なっているのが分かります。
成層構造の拡大(溶岩の層と火山砕屑物の層が交互に重なっている)
磐梯山のようなタイプの火山が噴火活動を始めると、まず火山ガスの力で爆発的噴火が起こり、マグマが粉々になり火山灰や火山レキとなって空に吹き上げられて空気中で鉄分が酸化され赤レンガ色の砕屑物となって堆積し、以後火山ガスの圧力が落ち着いてからは、マグマが火口から流れ出て溶岩流となります。(溶岩の層に見られる縦のひび割れは、液体のマグマが固体の岩石になる時の体積収縮によるひび割れでできた柱状節理です。)
つまり、マグマ噴火の場合、火山砕屑物の層に始まり溶岩の層をつくって一連の活動を終え、それを何度も繰り返して成層火山として成長します。
しかし、成層火山の内部がほんとうに成層構造をしているなんて、普通、だれも眼にすることはできないのですが、磐梯山では、水蒸気爆発による大規模な山体崩壊で火山の断面が表われ、内部のつくりが見えるのです。
それを見て高校地学世代のタモリさんは、山の中が見える!と興奮を隠さなかったのです。アシスタントの近江友里恵アナウンサーの言によると、この時のタモリさんは、番組史上最もテンションが高かったそうです。
当時、これまで世界に例のない、山一つが消失するような噴火活動は磐梯式噴火とよばれ、火山の内部のつくりを露呈する崩壊壁は、世界の火山学の教科書に写真が掲載されたりした、極めて貴重な火山が磐梯山なのです。
これらの現場を通る登山コースとして、裏磐梯スキー場口から崩壊壁を登るルート、川上温泉口からのルート、銅沼から中の湯を通り弘法清水に至るルートの三つがあります。いずれかを登山または下山コースにいれるのをお勧めします。頂上を目指さず、銅沼からのこの景色を主目的とするトレッキングも魅力です。世界に名だたる磐梯山の特異さ壮絶さを登山、トレッキングで堪能してください。
銅沼(あかぬま)から見た磐梯山の崩壊壁
野鳥の森展望台から見た檜原湖と磐梯山
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