突然ですが皆様、≪観光列車≫に乗車した事はございますか?
2022年現在、全国にはなんと約150もの観光列車が存在しています。
≪観光列車≫とは、内外装を凝らし、味覚を楽しみながら旅行が出来るなど、乗ること自体を目的にした列車のこと。(JTB総合研究所 観光用語集より)
観光列車には2022年4月車両をリニューアルした愛媛県を走る【伊予灘ものがたり】、秋田県~青森県間を運行し車内で津軽三味線等のイベントが行われる【リゾートしらかみ】(※イベントは実施日が決まっています)、2017年に鉄道車両の新人賞「ローレル賞」を受賞した上越妙高~糸魚川を走る【越後トキめきリゾート雪月花】など、様々な列車がありますが今回は会津若松駅~会津田島駅間を走る【会津鉄道 お座トロ展望列車】をご紹介します。
【会津鉄道お座トロ展望列車】は会津鉄道が運行する観光列車。
ユニークなこの名前は、「お座敷席」+「トロッコ席」+「展望席」の3つに分かれているから。すべての名前を合体して【お座トロ展望列車】なんです。
車両構成は2両編成となっており、1両はトロッコ車両、もう1両はお座敷席+展望席のある車両になっています。
この【お座トロ展望列車】、面白いのはトロッコ車両になんと売店があること!
こちらの売店では会津鉄道オリジナルグッズのクリアファイルや根付、スマホスタンドなど様々なグッズが販売されています。その他、車内で食べるアイスクリームやホットコーヒー、会津地酒セットも。会津地酒セットは持ち帰りもできるので、“東北の酒どころ”会津のお酒を家でゆっくり楽しみたい方にもおすすめです。
今回は「西若松駅」から「会津田島駅」まで乗車してきました。
「西若松駅」は福島の名城「鶴ヶ城(会津若松城)」からほど近く、車で約10分の距離にあります。せっかく会津に来たのだからお座トロ展望列車以外にもどこか会津の名所を観光したい!という方は鶴ヶ城も併せて訪れてみてはいかがでしょうか?
≪日本百名城≫にも数えられる鶴ヶ城はお城はもちろん、敷地内に千家ゆかりのお茶室「麟閣」もあり、手軽に本格的なお茶を楽しむ事も可能です。お座トロ展望列車乗車前に、ゆっくり一服するのもおすすめです。
会津 鶴ヶ城
さて、いよいよ西若松駅から乗車します。
西若松駅は売店のない駅なので、車内販売のもの以外にお弁当やおやつなどが必要であれば事前に購入して乗り込みましょう。
【お座トロ展望列車】のトロッコ車両、このお座敷席はこのようなイメージ。
列車は西若松駅を出発し、芦ノ牧温泉駅、湯野上温泉駅、塔のへつり駅、会津下郷駅を通過して会津田島駅まで向かいます。
乗車したのは5月中旬。西若松駅を出発すると、市街地から段々と田植えが終わったばかりのみずみずしい田園風景が広がってきます。景色が山と田んぼの緑一色に染まった頃、芦ノ牧温泉駅に到着します。
芦ノ牧温泉駅のある「芦ノ牧温泉」の歴史は古く、約千数百年前に遡るといわれています。
その昔はこの温泉地に行きつくことが困難であった為、≪幻の温泉郷≫と伝えられてきました。阿賀川の渓谷美と湯量豊富な天然温泉が魅力の温泉地です。
(※ただし、温泉宿は芦ノ牧温泉駅から離れた場所にありますのでご注意ください。)
そんな温泉地の駅、芦ノ牧温泉駅は「ねこ」が駅長を務める駅としても全国的に有名な駅なんです。
駅舎をのぞいてみると、たくさんのねこ駅長たちのグッズが。なぜねこ駅長なのか?というと1999年6月にのちの初代名誉駅長となるねこの「ばす」が地元の小学生に保護され、芦ノ牧温泉駅の駅舎に住みついたことがきっかけでした。「ばす」はその後2008年4月24日に「名誉駅長」に就任し、現在は「らぶ」が「二代目名誉駅長」に就任しています。他にも施設長の「ぴーち」、アテンダントの「さくら」も芦ノ牧温泉で働いています。
初代の「ばす」名誉駅長が写真のフラッシュで目が悪くなってしまった事から写真撮影はできませんが、お仕事中はスキンシップを取ることも可能です。スキンシップを取る際は抱き上げたりせず、やさしくご挨拶してください。
芦ノ牧温泉を過ぎると、湯野上温泉駅に到着です。
この湯野上温泉駅、なんと全国的にも珍しいの茅葺き屋根の駅舎なんです。
春になるとソメイヨシノが咲き、列車を迎えてくれる人気撮影スポット。
駅舎の横には足湯もあり、列車が来るまでの時間もゆっくりと過ごすことが出来ます。
湯野上温泉駅は江戸時代に会津若松市と日光今市を結ぶ重要な道の宿場町として栄えた「大内宿」最寄りの駅でもあります。大内宿では現在も江戸時代の面影そのままに茅葺屋根の民家が街道沿いに建ち並び、昭和56年には国選定重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。4/11~11/30までは湯野上温泉駅から1日6便の大内宿行のバスが運行されています。
福島をじっくり味わいたい、という方は大内宿もぜひお尋ねください。
大内宿観光協会 大内宿
湯野上温泉駅を過ぎると、大川渓谷に進みます。大川渓谷は大川の清流に沿って渓谷美の連なる“大川羽鳥県立自然公園”の一部。この大川渓谷は百万年もの歳月をかけて凝灰岩が浸食、風化されて作り上げたもので、奇岩怪石が塔のようにそそり立っています。
流れている川は阿賀川なのに、なぜ大川渓谷という名前なのか?というと、阿賀川の通称が“大川”である事から名づけられているそう。中でも最大の見所は国指定天然記念物の「塔のへつり」。“へつり”とは、この地方の方言で「川に迫った断崖や急な斜面」のこと。塔のような10の奇岩群は、1943年に国の天然記念物に指定されています。
なお、残念ながら列車からは塔のへつりを見る事は出来ません。「塔のへつり」駅で下車して3分程度歩いて移動する必要があります。
ではお座トロ展望列車からはどんな景色が見えているのか?というと、阿賀川沿いの景色をゆったりと走ります。所々訪れる絶景ポイントで停車する為、写真撮影も楽しめますよ。
時折通過するトンネル内では、トンネルシアターが上映されます。真っ暗闇のトンネルがシアターになりますので、この間はスマートフォンなど灯りを出すものは控えて、トンネルシアターをぜひお楽しみください。
終点、会津田島駅に到着です。会津田島駅には売店があり、地酒をはじめ南会津の品々が並びます。改札前の待合室には地酒の自動販売機(!)もありますので、こちらでも会津のお酒を楽しむ事が出来ますよ。もちろん、飲酒後は列車やタクシーなどを利用してください。
【お座トロ展望車】に乗るには、通常の乗車区間の乗車券の他にトロッコ座席指定券が必要です。トロッコ座席指定券は運行の一ヶ月前から販売しておりますので、事前に入手しましょう。トロッコ座席指定券は大人400円、小人200円です。インターネットからも予約が可能になりましたので、ぜひ乗ってみたい!という方は会津鉄道ホームページをご覧ください。
※毎日運行ではありませんので、運行カレンダーをご確認ください。
会津鉄道 2022お座トロ展望列車
【会津鉄道お座トロ展望列車】会津若松駅最寄りの休暇村に、休暇村裏磐梯がございます。
休暇村裏磐梯から会津若松駅までは車で約50分。これから始まる夏・秋の紅葉シーズンに、ぜひ併せてご検討ください。
自然にときめくリゾート 休暇村 裏磐梯
※情報は2022年6月15日現在のものとなります。最新の情報はホームページ等でご確認ください。