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2020.10.06

にほんの紅(あか)をつくる町は隠れそば屋の里だった!

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スタッフ名:阿久津

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中近東からシルクロードを経て渡来した紅花は山形で花開きました
江戸時代に、一大産地となった山形の紅花。山形県西置賜郡の白鷹町は、紅花を原料とする紅餅や乾燥加工品の生産量が全国シェア6割を超える生産地で、本紅や染料の原料になることから、「日本の紅(あか)をつくる町」として、人々の心も華やかに染め上げています。
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摘まれた紅花は、数多くの行程を経て、紅餅と呼ばれる、手のひらほどの大きさに丸められます。紅餅一枚の重さは、一匁(いちもんめ)3.75g。これが童歌「紅花一匁」(はないちもんめ)です。花を一匁だけ買う際に、値段をまけて悔しい売り手と、安く買って嬉しい買い手の様子が歌われているそうです。ちなみに、この丸い紅餅の姿が、山形の祭り「花笠」の由来です。

白鷹町商工観光課

山形県は蕎麦の美味しさでも一目置かれているのです
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紅花の収穫が終わるころ、蕎麦の花が咲き始めます。東北には、「そば街道」と呼ばれるエリアが数多く存在します。蕎麦は、稲作に不向きな高原などでもつくれ、種子を蒔いてから60~80日ほどで収穫できるところから、凶作対策用の作物としても古来より重視されてきました。


 
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蕎麦で有名な山形のなかでも、南部の置賜(おきたま)地方は水がきれいで、美味しい蕎麦屋がたくさんあります。山形は、殻ごと使う挽きぐるみ粉で、つなぎなしの十割蕎麦が多いのも特徴です。また、民家を改装して営む蕎麦屋さんも多く、普通のお宅の座敷に上がるような感覚で蕎麦をいただくため、風味はもちろん、暖かいおもてなしにも包まれます。
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白鷹町は「隠れ蕎麦屋の里」
最上川沿いに田園の広がる緑豊かな白鷹(しらたか)町。昔から白鷹町の各集落には「そば屋」という屋号を持つ家があり、お祝い事などがあると、頼まれて蕎麦を打つ名人たちがいました。自宅を店として開放しひっそりと営業していたスタイルが原点となっていることから、「隠れ蕎麦屋の里」と呼ばれるようになったそうで、そば粉も引き方もつゆも各店舗独自の味で提供しています。「蕎麦の里」ではなく、「蕎麦屋の里」というところがさらに美味しそうです。 
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中でも人気の「熊屋」さんは白鷹産の玄蕎麦を使用し、蕎麦そのものの味を楽しんでほしいという想いからメニューは石臼挽きぐるみの十割「もりそば」だけ。椎茸と昆布のみでダシをとったつゆが香り豊かで、粘土のようにコシの強いそばを引き立てています。
白鷹町の新蕎麦は、各店舗10月末頃から提供しています。

 

(一社)白鷹町観光協会

私は、コシがしっかりしていて、喉ごしよりも噛みごたえのある蕎麦が好きですが、皆さんの好きな蕎麦はどのタイプでしょうか?
蕎麦屋の暖簾をくぐって、サラっと燗を飲みながら、「だし巻きにせいろ1枚!」なんて季節になってきましたね。