なぜ佐渡島の金山は世界遺産に登録されたのか?
2022年に、日本の世界文化遺産候補としてユネスコへ推薦された佐渡島の金山は、江戸時代(1601年)に3人の山師によって開山され、資源枯渇を理由に創業停止に至る平成時代までの約400年間にわたり日本産業の近代化を支えてきました。
イタリアの商人であるマルコポーロが、旅行記・東方見聞録で当時の日本のことを「黄金の国ジパング」と紹介しているように、日本は他国から金のイメージが持たれているのだろうと推測します。実際、国内には金山、銀山、銅山と全国各地に存在しますが、その中でも佐渡金山の金鉱脈は、東西3,000m、南北600m、深さ800mと日本最大級の規模でした。そして産出された金は78t、銀は2,330tだったそうです。
海外で金や銀を機械によって採掘していましたが、鎖国などの影響もあり、海外からの技術や知識が制限されている状況下で、佐渡島では人力で採掘を続けていました。こういった高度な手工業によって日本産業の近代化を支えたことが類を見ない事例として評価され、2024年7月に世界遺産へと登録がされました。
今回はそんな注目を集める金山と佐渡観光についてご紹介したいと思います。
佐渡島へのアクセスについて
佐渡島行きのフェリーに乗るために、新潟駅から新潟港までバスで向かいます。道路の混雑状況によりますが約15分です。そして新潟港から佐渡島(両津港)までは佐渡汽船が運航するフェリー(高速船)に乗って約1時間で到着します。料金は往復13,490円です。他にも、車を積載できるカーフェリーもありますが、そちらの場合は片道約2時間30分ほどかかります。料金は往復5,920円でした。特に急がない旅であればカーフェリーでゆっくり島に向かっても快適なので十分だと思いました。
佐渡汽船について
島に到着、島内はバスかタクシー移動
島内に鉄道はないので、観光する際にはバスかタクシーでの移動が基本となります。そのため、移動時間は予想以上にかかる場合もあるため、観光のスケジュールは詰め込みすぎずにゆったりと組むのがおすすめです。
まずは旅のメインである金山に向かうことにしました。両津港から「佐渡金山行き」のバスに乗車します。両津港が佐渡島の東側にあるのに対し、金山は反対側の西側に位置するため、バスで約70分かかりました。バスの乗り放題パスというものがあったので両津港で購入してみました。
佐渡1dayパスで大人1,500円でした。2dayパスだと2,500円、3dayパスだと3,500円だそうです。通常、両津港→佐渡金山はバス代が片道840円なのでパスを購入しておいた方がお得です。
いよいよ世界文化遺産の佐渡金山へ到着
鉱山内は歩きやすいように道幅も広く整備されていて、中は涼しいというよりも寒いくらいでした。中は10℃くらいだそうなので夏場でも上着はあった方がよさそうです。
坑道は2コースあり、1つは宗太夫坑(そうだゆうこう)という江戸時代の初期に採掘された手掘りの坑道で、もう1つは道遊坑(どうゆうこう)という明治時代に採掘された坑道でした。
宗太夫坑で作業している様子を再現した動く人形が随所や実際に使われていたトロッコが置かれていて、少し不気味で怖かったですが当時の過酷な様子がダイレクトに肌へ伝わってきて、ここから一つの都市が始まったのかと思うととても感慨深いものがありました。
坑道散策だけではなく、資料館もあるのでそちらでじっくりと歴史を学ぶことができたり、金塊を実際に手で持ってみる体験もできるので(重くて持ち上がりませんでした)ぜひチャレンジしてみてください。
佐渡金山について
佐渡島といえば特別天然記念物トキ
ベタですが、佐渡島に来たらやっぱりトキには会ってみたいなぁと思ったので、トキの森公園へ行ってきました。
2003年に日本国内のトキは絶滅してしまい、そこから中国に譲り受けたトキを大切に保護して、少しずつ自然界に放鳥してきた佐渡島。そのため、運が良ければ自然界のトキを見ることができると地元の方に聞いてはいたのですが、日帰り旅で佐渡島へ向かっていた自分にはタイミングを待つ余裕もなかったので、確実にトキに会うべく、チートをしてしまいました。
そんなトキですが、実は他の野鳥と違ってとても繊細で手間のかかる野鳥と言われています。トキは田んぼでドジョウやタニシなどを取って食べるのですが、農薬などの使用によってトキの餌となる生き物がいなくなると、たちまち姿を消してしまいます。つまり、ヒナから大人になるまでトキを保護して育てるだけでは足りず、自然界に放った後もトキを守っていくためには、トキの餌場を確保するために、佐渡島の稲作方法から変えていかなければならないということになります。実際に、佐渡モデルといって、農薬を減らしたり、水質調査を行うなどして佐渡島ではトキのための稲作が行われています。こうして一度は絶滅したトキの生態を学ぶことができ、実際に飼育されているトキに会うことができるのがトキの森公園でした。
そして、帰り道にバスの車窓から外の景色を眺めていたとこと、野生のトキに遭遇することができました。薄いピンク色の羽を広げて大空を飛ぶトキの姿は忘れられない思い出になりました。
トキの森公園について
まとめ
今回は佐渡島の金山とトキについてご紹介しました。今回は2施設を巡りましたが、公共交通機関のみで観光する場合には、午前と午後に1か所ずつにするのが行程を組む際には無理なくちょうどいいと感じました。
島内は日帰りでも十分楽しめますのでぜひ佐渡島へ遊びにいってみてはいかがでしょうか。次回は宿泊をして、今回できなかった「たらい舟の乗船」や「シュノーケリング」もやってみたいと思います。
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