季節は秋。
昔むかし、とある場所で、きのこ狩りに同行しました。
そこに集うは少数精鋭の老若男女。
薄暗くジメジメした山道でも、我らの目的をもってすれば、そこは素敵に楽しいパラダイス。
「おやそこに」「あらこんなところに」「見るからにおどろおどろしい」「かわいい顔して食えないヤツめ」と互いに声を掛け合い、キャッキャウフフと参加者一同、楽しくきのこを探します。
とは言え、きのこ。
たかだか菌糸の塊なのに、時には人の生命を脅かす驚異&脅威の存在です。
もちろん素人集団で好き勝手に採るなんて恐ろしいことはいたしません。
きのこ名人が先生としてついてくださり、先生の指示に従い、食用、観賞用と、取捨選択します。
先生は名人。地元の自然の達人。先生の言うことは何でも正しい。
はずなのに。
途中、きのこの傍で歩みを止めた先生は、おもむろにリュックの中から図鑑を取り出し、
「ねえねえ、これ、どうかな?同じ?違う?大丈夫かな?」
!!!
なぜその判断を私に仰ぐのですか!
「止めましょう、先生。迷ったら止める。
自信をもって絶対安全だと思うものだけ採ることにしましょう。
万が一のことがあっては遅いですから!」
その後も、時折
「ねえねえ、どうかな?」
「図鑑を見ないで大丈夫だと思う物だけにしてください!」
「ねえねえ、どうかな?」
「先生!ストーップ!迷ったら止める!」
そんなこんなで、収穫したきのこ達は、おいしいきのこ汁になりました。
で、この時、きのこ汁と一緒だったか、別仕立てだったかちょっと記憶があやふやなのですが、生まれて初めて「亀の手」なるものを、これも味噌汁でいただきまして、大変美味で感動した次第です。
亀の手。
亀の足をちょん切って食したわけではありません。
気になる方はポチっと検索してみてください。
グロテスクな画像が苦手な方は、恐る恐るどうぞ。
きのこ狩りで他人の人生を委ねられるという思い出が強烈過ぎて、亀の手はどのように調達して鍋に投入することになったのか全く記憶にありません。
美味しかったのに前後の記憶が無いとは、ああ悔しい。
「ホヤ」「サメ」「鯨」はスーパーの魚売り場で見かけても(当方、関東在住)、亀の手は見たことがありません。
一期一会の食材でした。
ちなみに、美味なるきのこ汁では誰一人命を落とすことなく、お腹が痛くなることもなく、全員無事に解散しました。
良かった良かった。
思い出が古過ぎてお見せできる写真が無かったので、代わりに安全で美味しいきのこ料理のご紹介など。
美味しいきのこ料理を探そう