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2024.12.07

今年のふたご座流星群はちょっと・・・?!

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スタッフ名:高梨

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 年間三大流星群に数えられるふたご座流星群は12月13~14日が活動のピークですが、今年は条件がちょっと・・・
 
 ネット上では、相変わらず、大いに期待が持てるかのような情報が数多く見られます。これはネット情報の特徴があるためです。「クリックしてもらったら勝ち」といった、期待を抱かせる情報ばかりがあふれているのです。良心的で客観的な情報は少な目です。
 
 私は、この道60年星空を見てきた星好き=ホシミストです。「期待して見てみたが全くがっかり!」と、再び星空から離れる人が増えないよう、こうした現状の背景をここで説明します。
 
 実際に流れ星がたくさん見えるかどうかの条件とは、まず第一は天気ですが、これは当然なので省略するとして、次の条件が、月明かりの影響です。極端な話、満月の晩だと月明かりで星があまり見えません。人間が夜空を見上げて見ることのできる星の数の最大は、1~6等星までの約4300個ですが、満月の夜だと頑張ってせいぜい1~3等星までの280個程度、つまり15分の1以下となります。こんな晩だと流れ星だって見えるのはぐっと少なくなります。

 で、今年は12月15日が満月!最も出現する予報の14日は、満月の1日前でほとんど満月に近い明るく大きな月が一晩中空にあるので、流星群観察には大きな影響がでます。そんなわけで今年のふたご座流星群は条件があまりよくありません。
 
 
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上の×印がふたご座流星群の放射点(輻射点)で、ここから流星が四方に放射状に出ます。
 (写真は、数時間分の流星の写った何枚もの写真を、1枚に重ねて合成したものです。)

 (黄色線がオリオン座、水色線がふたご座)


 信頼のおける国立天文台の情報では14日午前3~5時の1時間あたり40個ぐらいが最も見られる時間帯との予報です。(この時間帯の前や後はまた少なくなります。)

 1時間あたり40個見えるのならかなり楽しめるのでは、との見方もありますが、暗い夜空に明るいはっきりとした流れ星が現れるわけではないのです。月明かりでかなり明るい空に、肉眼でやっと見えるような3~4等星の明るさの流れ星も多いと考えられます。

 さらに何より寒い冬空の下の長時間の観察、観察者に集中力・根性があるかどうかが大きく問われます。国立天文台の情報はそこまで考慮した見解ではありません。流星物質が地球大気中に飛び込んできてその条件下で肉眼で確認出来るはずの流星数の予報です。高校や大学の天文部などの目的があって観察する根性ある人で40個程度、一般の方々の流星ショーを楽しみたいレベルだと、1時間あたり10個前後かもしれません。
 通常ふたご座流星群は条件が良ければ1時間あたり60個くらいは出現する流星群ですが、今年の場合は、上記のように考えた方がいいでしょう。

 でも多くの流星物質が確実に地球に降りそそぐのは事実ですので、流れ星を見るチャンスには違いありません。実際に見るかどうかは皆さんご自身が判断するところでしょう。
 
 一方、それ以上におすすめしたいのが、3週間後の2025年1月4日未明(3日の深夜すぎ)のしぶんぎ座(りゅう座)流星群です。こちらも年間三大流星群のひとつです。(残りの三大流星群は8月12~14日頃のペルセウス座流星群です)
 こちらは月明かりの影響がほとんどなく、1時間あたり15~30個の流星が見られそうです。
 
 流星群の情報に関しては、天文マニアでもあまり注目しないマイナーなものでも、ネット上の情報では大きく取り上げられる傾向があります。
 「流れ星を目の当たりにする」という経験が、宇宙の神秘とロマンを大きく搔き立て、日本人は特に大きな期待をかけるからだと思います。



※ 目次の写真は2001年11月のしし座流星群の時のものです。古くてすみません!
※ 本文の初めの写真は、2023年のふたご座流星群の時のものです。オリオン座の下に1個写っています。
 

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