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2022.12.10

流星とは?流星群とは? ~12月のふたご座流星群に備える

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スタッフ名:高梨

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  12月5~20日は年間三大流星群のひとつに数えられるふたご座流星群が活動する時期で、特に14日はピークを迎えます。年間で最も流れ星が見られる時期なので、この機会に見てみようという方も多いでしょう。また一方、昨今のネット社会では何故か、適切とは言えない流星群情報が流布することも多いので、今回は、流星群について確実な情報をお知らせしたいと思います。

(↑ 上の写真は冬の星座たち。中央左下がオリオン座、中央やや左上がふたご座です。)
 
  まず、流星、流れ星とは何か、でありますが、

  有体に言って、空にある星座に含まれる既存の星(恒星)が、ある時、流れ星となるのではありません。
 星座を形づくる恒星は、すべて太陽の仲間で、核融合反応で膨大な熱や光を放出している地球とは比較にならないほど巨大な天体です。(太陽は恒星としては平凡な大きさですが、それでも直径で地球の109倍、質量で地球の33万倍あります。)
 こんな大きな天体が、気まぐれに動き出すことはありません。
 
 流れ星は、もともと太陽系空間に存在していた砂粒や小石サイズの微小な天体です。
 それが地球大気中に突入したとき、大気の成分とぶつかり合って、高温になり溶けて蒸発する際の発光現象です。(正確にはプラズマ発光で光る。)
 
(↓下の写真左側の線は流星ではありません。始めから終わりまで同じ太さの線は人工衛星の光跡です。流星は、光り始めと光り終わりは、極めて細い線で、中間が太くなります。)
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(↓次の写真の右下部、オリオン座の下の光跡は流星です。あまり明るい流星には見えないですが、星座をつくる星は露出時間の約30秒間の光跡、流星は一瞬の出来事なので、実際に目撃した時よりはずっと暗く写ります。昨年のふたご座流星群から。)
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(↑上の写真右隅の光跡は、かなり明るい見事な流星ですが、惜しくも写野の外まで流れてはみ出してしまいました。流星はどこに現れるか分からないので中々写野のなかに写すのが困難の場合も。昨年のふたご座流星群より。)

(↓こちらは2001年11月のしし座流星群の時の写真です。明るくて見事な流星が三連発。すごい流星群だったことがお判りと思います。)
 
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 明るい流れ星でも、その本体は、われわれの手のひらにいくつも乗るような大きさです。
 
 流星が発光する高さは、だいたい地表から100㎞くらいで、福島の真上で光った流れ星は、東京では地平線近く、あるいは低すぎて見えないような、とてもローカルな現象なのです。

 
 流星には、散在流星と群流星があります。散在流星は、砂粒のような流星物質が単発的に地球大気に飛び込んでくるものですが、群流星は、流星物質が太陽系空間で、ある通り道(軌道)上に群れをなして同じ運動をしているものが次々と地球に飛び込んでくるものです。その軌道は、かなりのものが彗星の軌道と一致します。彗星とは、砂粒と雪だるまが固まったような天体で、細長い軌道上を太陽に近づいたり遠ざかったりして回っているので、何度も太陽に近づくうちに、雪や氷のような揮発物質は蒸発してなくなり、彗星は次第に軌道上で崩れていきます。その崩れてバラバラになって軌道上を回っている砂粒群が、群流星のもともとの正体です。
 
 そして、太陽系空間では、地球の軌道と交差するような軌道の彗星があります。その交差点に地球が差しかかると、地球めがけて多くの流星物質が彗星の軌道から降り注ぎます。それを地球で見ていると、彗星の軌道のうしろにある星座から、四方八方に流星が出現するように見え、これが群流星となります。

(↓下の写真は、2001年しし座流星群の時の出現の写真6枚を1枚に重ね合わせたものです。一定の方向から放射状に出現した様子が分かります。)
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 毎年12月14日ごろにふたご座の方向から四方八方に放射状に流れるのがふたご座流星群です。ふたご座流星群のもととなる天体は実は彗星でなく、ファエトンという小惑星です。揮発物質を失った彗星と考えられています。

 さてこのふたご座流星群は、毎年、12月14日ごろには1時間当たり50~200個と毎年安定して多くの流星が出現します。流星物質が軌道上にまんべんなくバラまかれているからです。しかし、11月18日ごろ極大を迎えるしし座流星群は、例年最大1時間当たり5個以内という寂しい出現状況ですが、33年に一度、ものすごい数の流星群を降らせます。
 これは33年周期で太陽系を回っているテンペル・タットル彗星という彗星が通り過ぎる直前か直後に地球がその軌道を横断する時に起こります。最近では2001年に日本でものすごい流星雨(流星嵐)が見られました。これまで掲載した写真で判るかと思います。最大1時間当たり2,000個ぐらい流れました!
 次の大出現は、2001年の33年後、あと10年後ぐらいです。今から楽しみです。しし座流星群は、ふたご座流星群とは違い、まだ流星群として歴史が新しく流星物質が軌道上にまんべんなく拡がっていないからこのような出現をすると考えられています。


(↓ 2001年しし座流星群の時の写真。1枚に14個の流星が写っています! また中央上部の光斑は、大流星が現れた時に光跡がいつまでも輝く流星痕です。私の星仲間の薄さんが撮影したものです!大流星出現後に露出を開始した写真です。)


 
 
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 さてネット社会における流星群などの報道のことですが、最近では、上記の今年11月18日ごろのしし座流星群、11月13日ごろのおうし座北流星群、10月22日ごろのオリオン座流星群など、最大1時間当たりの出現数(おそらく最高の条件であった場合でも実際の出現数は1~2個)が5個に満たないマイナーな流星群でも、楽しめそうな天体ショーとして過大に報道されました。ほとんどの人は失望を味わったことでしょう。
 
 こんどのふたご座流星群は、毎年確実に安定して出現します。三大流星群ですので。
 ただ流星ウォッチングの場合、空の月明かりの存在を考える必要もあります。満月のような明るい月があると実際に見える流星はさらにぐっと少なくなります。12月14日は月齢20で、午後10時以降は明るい月が昇りますのでそれ以前がよいでしょう。

 ふたご座流星群で、宇宙の神秘を楽しんでください!!

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