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2022.10.01

動物たちの命を支える秋の実り ベスト3

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スタッフ名:高梨

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 秋といっても9~10月初旬の裏磐梯の野山はまだほぼ緑一色です。ただ多くの植物は実を結んで子孫を残す準備を終えつつあります。裏磐梯平地の紅葉のクライマックスは例年10月下旬ですので、今は一年のサイクルをほぼ成し遂げた植物たちのたたずまいが見ものです。
 今回はこれらを紹介いたしましょう。そしてそれは裏磐梯の野生動物たちの生命線にもなっています。
 
 明治の磐梯山噴火による岩だらけの大地からスタートした裏磐梯の森は、日当りが良かった環境を反映し、今もつる植物のとても多い森です。ただ裏磐梯は標高が高いせいか下界で圧倒的にはびこっているクズ(葛)は少なく、アケビ、コクワ、ヤマブドウといったつる植物が多く繁茂します。いずれも、とびっきりの甘くおいしい実がみのります。
 この植物たちのおかげで、クマ、サルなどの野生動物の秋の食生活は大きく支えられております。人間にとってもおいしい秋の実りですが、裏磐梯は国立公園の特別保護区域ですので、人間は味見程度にとどめておきましょう。

(一般的にクマの秋の食料と言えば、ドングリ、ブナ、クリの実などの堅果類があげられますが、噴火の影響のある裏磐梯の若い森にはまだブナ、ナラはあまりなく、代りに上記のつる植物の液果・漿果類が豊富にあります。もっとも周辺の噴火の影響のない山々に行けば堅果類が豊富で、裏磐梯のクマは恵まれていると言えます。)



アケビ(アケビ、ミツバアケビ)

  ふっくらしてパックリと口が開いた紫色を見るとなにか郷愁を感じてしまいます。極上の甘さに動物たちも狂喜しているようで、休暇村探勝路では、よく動物の食べ跡がみられます。甘くはないけれど分厚い皮も食べる動物がいるようです。山形の郷土料理でも皮を利用しますね。アケビだけは毎秋安定して実り、背もあまり高くならないので採るのも容易です。
 



 
動物の爪痕、歯の痕のあるアケビの皮
まるで歯科で歯型検査をしたかのようなクマの歯型が残っていました!
コクワ(別名サルナシ)
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 日本の野生のキウイフルーツです。キウイと同じマタタビ科マタタビ属のつる植物で、果実の大きさは3㎝位、果実のつくりと味わいはキウイフルーツそのものです。コクワはつるが高くのび、取るのが大変なのですが、前年の大雪でコクワが絡んだもとの木が折れつる植物のコクワは無事、というパターンがかなりあり、今年はたやすく取れる場所がいくつもありました。
 

ヤマブドウ
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 甘味も酸味も強い、山の実りのスーパースターです。これでワインを醸造するとフルボディの力強い赤ワインになります。収穫を遅らすほど甘味の強いブドウになりますが、遅すぎると誰かに先を越されます。動物たちも収穫のタイミングを計っているようで、ある日一気になくなったりします。裏磐梯は、近年サルの群れの出没が増えクマの口にはあまり入らないみたいです。


 以上が、クマさんたちにとっての、裏磐梯の秋の森の恵みベスト3でしょうね。

 あとは、つれづれなるままに目についた秋の実りをいくつか紹介しましょう。
 

カンボクの実
 
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 透明がかったルビー色の実はとても美しいです。そしてとても美味しい、かと言えば違います。毒はなく栄養もそこそこにあるので、最終的には鳥たちに食べられるのですが、なくなるのがとても遅く、3月ごろ雪原に残る真っ赤な実はとても目につきます。ちょっと口に入れてみると、生の銀杏のようで実際まずいです。落葉小高木。

 
トチの実
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 落葉高木のトチノキの実、地上にびっしりと落ちている栗のような色の実は、何とか食べよう利用しようと思わせますが、これが栗の実とは全く違い、渋みと苦みが強くて根気強く十分なあく抜きをしないと食用になりません。世界でトチの実を食用としているのは日本だけなそうで、栄養豊かで貴重なデンプン源、保存のきく食料は、我々東北人の祖先の縄文人の知恵のたまもののようです。
 

カラハナソウの実
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 この実がないと、人生の喜びの半分がなくなり、生きる希望を失う人も多いのでは。そう、この実は、ビールに華やかな苦みと香りをつけ、発泡を進めるホップの仲間なのです。日本で醸造されるビールは、西洋カラハナソウのつるを支柱やフェンスに絡ませて畑で栽培したものを使っているそうです。裏磐梯では野生のカラハナソウがたくさん見られ、よい香りがします。つる植物ってありがたいものが多いですね。 


マムシグサの実
 
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 美しい! 毒々しい?! この見方の違いは、どこから来るのでしょうか? 名前を知っている人は「マムシグサ」なので、毒々しいと思うかもしれません。でも名前なんぞ知らない動物たちも、この植物には口も手も出しません。何が「危ないよ」というサインを発しているのでしょうか? トウモロコシの実のような粒々の付け根を見てください。真っ黒です。この辺が不気味さを発揮しているのでしょうか。もちろん有毒で命を落とすこともあり、触っただけでも皮膚がただれることもあるそうです。多年生草本。

 
 スーパーもコンビニもない野生で動物が生きてゆくことは、なかなか大変なことですね。
 でもクマも、サルも、キツネもウサギも、みなたくましく生きているのです。
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バイバイ、またね!

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