クマ対応とトレッキング
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スタッフ名:高梨
裏磐梯の属する奥羽山地は、どこもツキノワグマの生息地ですが、裏磐梯の場合、さらに自然豊かな森が広がっているので、クマの出没、目撃はかなりある地域と言えます。
但し休暇村裏磐梯の探勝路周辺では、クマに襲われた、事故が起きたという話は昔からありません。それには実は、裏磐梯らしい理由があります。
それは、休暇村周辺の探勝路(休暇村探勝路、レンゲ沼探勝路、中瀬沼探勝路、桧原湖畔探勝路)あたりは、明治の磐梯山噴火の岩なだれの影響で、自然豊かな森とはいえ、土壌は今も岩だらけです。そのため畑や田んぼは今も昔もなく、民家もありません。ゆえにここのクマは、人間の作った作物や人間の食べ物を目的に出没することはありません。
(岩だらけ裏磐梯のの森) (つる植物の多い裏磐梯の森)
さらに、厚さ50~100mもの岩なだれの堆積で噴火後しばらく、一本の草木もない日当たりのよい土地となったので、今も、とても「つる植物」の多い森となっています。
(つる植物は日当たりの良い土地が大好きです)
そのためつる植物であるヤマブドウ、アケビ、コクワなど甘い秋の実り、さらにやはり日当たりの良い土地に多いアザミ、ハナウドなどの大型草本類や野生のサクランボ、クワの実などが多く、これらが出没の目的になっています。
(見事なヤマブドウのみのり) (サクランボの種を含むクマのフン)
でも一番は、岩だらけの大地なので利用を放棄せざるを得ない、人間にとって役立たずの大地だったので、逆に動植物が安心して生活できる森になったと言えるかも知れません。
噴火後まだ133年しか経っていないまだまだ若い森なのに、クマをはじめとする多くの動物が生息できる自然豊かな大地は、結局、磐梯山の噴火でもたらされたと言えます。
「磐梯山」と「ツキノワグマ」は、裏磐梯の自然の象徴と言えるでしょう。
(探勝路にあるクマ棚) (探勝路脇の樹木にあるクマのつめ跡)
野生で得られる食べ物を利用するクマは、野生動物本来の用心深く慎重な行動をするクマがほとんどです。人間を見ても逃げず、執着し、時に襲ってくるクマは、人間の食料や作物に味をしめたクマや、タケノコ採りなどクマと人間の目的がぶつかってしまう場合のクマです。休暇村周辺はそんなクマの現れにくい環境なのです。
噴火の影響のない周辺の自然(檜原湖北部周辺や雄子沢など)は、以上は当てはまらないと一応言えますが、山が深くて標高が高く人間の活動も限定的なため、結局、人間慣れしていないクマが多いので、人間とのトラブルも少ないと言えます。
こうした自然の中をクマの活動期(サクランボ・クワの実の実る6・7月、ヤマブドウ・コクワなどの実る9・10月など)にトレッキングすることは、こころよい緊張感を感じるものです。このような経験ができる場所は、今、日本では裏磐梯以外にはあまりないのではないでしょうか。
自然に親しむということは、結局、植物も動物も精一杯生きていること、そして限りのある命をバトンタッチするため工夫して子孫を残している、ということを肌で感じることが究極にあると思います。そのようなトレッキングを行うには裏磐梯は最適の地です。
(探勝路で見つけたクマのうんちを前に!!)
さて、人間も自分の命が何より大切ですので、ナイーブで心優しい(?)クマたちではありますが、万一、クマに接近した場合、大切なクマへの対応があります。ぜひ心してください。
◎絶対にしていけないこと
☓ クマに食べ物を与えること
残飯を捨てることも同様になります。おいしい人間社会の食べ物に頼ってしまいます。
☓ 子熊に近づくこと
中型犬以下の大きさのクマは親子熊の子熊です。親熊は意外と子熊をほったらかして離れて自分の給餌行動をします。人間が親子の間にうっかり入ると、さすがに母性本能がよみがえり、人間に向かってくることがあります。
☓ 犬を連れて歩くこと
犬連れで熊と出会った場合、犬対クマの行動は参考になりますが、勇敢にほえ続ける犬に興奮したクマは、犬に攻撃するのはためらう代わりに、脇でおろおろする人間に攻撃する例があります。
☓ 背中を向けて逃げること
クマに限らず野生動物は、慎重で用心深く何より争いを避けますが、背水の陣となると自分を守るため攻撃することもあります。ばったり会った時など、背中を向けて逃げると、クマの攻撃本能が目覚めてしまいます。
では、トレッキングでどうするか、となりますが、次のようなことを心掛けてください。
◎クマ鈴などで、こちらの存在を早くから伝えてやる
向かってきたりしません。逃げます。また嵐の日、沢の音が大きいなど、クマが人の気配を感じられない時はあまり効き目がありません。トレッキングは止めるべきでしょう。
◎出会ったら、興奮せず冷静にそっとしておき、視線はそらさない
同じ生き物としての視線に、クマは脅威を感じます。目はそらさず、すこしずつ後ずさりするとクマの方から逃げてくれることが多いです。
◎適切な行動をとる自信がない人は、トレッキングを控える
頭では分かっていても、実際は適切に行動できないことも多いものです。そんな時は心の準備ができるまで少し待ち、次の機会としましょう。
クマといえども、地球に誕生した生命として認めてやるべきは当然と思います。敵対することは結局人間に悪く帰ってきます。クマに限りませんが、生き物である以上生存権を肯定すること、共生を目指すことしか人間の幸福につながる道はないと思います。
裏磐梯の噴火の影響のある大地のクマは、人との共生ができつつある、日本では稀有な存在です。大切にしていきましょう。
毎週、日曜日の午前、休暇村探勝路のトレッキングを行っています。私と一緒に歩きましょう!
(野生のサクランボを食べに来た明け2歳の若グマ
~このぐらいのクマは好奇心旺盛で、少しやんちゃで可愛いいです)